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さぶ

さぶ

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁

青空文庫

れて、彼にもまた近よろうとする者はなかった。それでも昌吉は命ぜられた仕事もしたし、日常の規則にも反抗するようなことはなかった。いつ本性をあらわすかわからない、という底きみのわるさをちらちらさせながら、小頭の云うことには従っていた。――けれども義一はその反対で、仕事には出ないし、寝起きも勝手しだい。起きたなとみればきまって花札を弄っているし、夜になるとみんなに賭博をすすめた。

――そっくりだな、と栄二は思った。たぶんこのおれも、寄場へ来た初めのころはあんなふうだったに違いない。

自分が無実の罪をきせられ、非道なめにあったということが、自分に特別な権利でもあるように思いこみ、どんな反抗もわがままもとおしてみせる、という気持になっていた。義一もそのとおり、やまっかがしという異名を特権のように信じこみ、それをみんなにひけらかしているのだ。

――おれもあんなふうだったんだな。

さぞかしみんな片腹いたく思ったろう、そう考えるたびに栄二は冷や汗をかいた。

義一は来たときから、ひそかに栄二に眼をつけていたらしい。仕事にも出ず、食事の支度もしてもらい、蒲団によりかかるか、手習いをしているところなど、すべてがえらそうで気にいらないようすだった。