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それから

それから

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁

青空文庫

と云って、代助はやっぱり横着な態度を維持していた。すると、寺尾は、

「おい」と云った。「冗談じゃない、君の様に、のらくら遊んでる人は、たまにはその位な事でも、しなくっちゃ退屈で仕方がないだろう。なに、僕だって、本の善く読める人の所へ行く気なら、わざわざ君の所まで来やしない。けれども、そんな人は君と違って、みんな忙しいんだからな」と少しも辟易した様子を見せなかった。代助は喧嘩をするか、相談に応ずるか何方かだと覚悟を極めた。彼の性質として、こう云う相手を軽蔑する事は出来るが、怒り付ける気は出せなかった。

「じゃなるべく少しにしようじゃないか」と断って置いて、符号の附けてある所だけを見た。代助はその書物の梗概さえ聞く勇気がなかった。相談を受けた部分にも曖昧な所は沢山あった。寺尾は、やがて、

「やあ、難有う」と云って本を伏せた。

「分らない所はどうする」と代助が聞いた。

「なにどうかする。――誰に聞いたって、そう善く分りゃしまい。第一時間がないから已を得ない」と、寺尾は、誤訳よりも生活費の方が大事件である如くに天から極めていた。

相談が済むと、寺尾は例によって、文学談を持ち出した。