輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
十二
十二
代助は嫂の肉薄を恐れた。又三千代の引力を恐れた。避暑にはまだ間があった。凡ての娯楽には興味を失った。読書をしても、自己の影を黒い文字の上に認める事が出来なくなった。落付いて考えれば、考えは蓮の糸を引く如くに出るが、出たものを纏めて見ると、人の恐ろしがるものばかりであった。仕舞には、斯様に考えなければならない自分が怖くなった。代助は蒼白く見える自分の脳髄を、ミルクセークの如く廻転させる為に、しばらく旅行しようと決心した。始めは父の別荘に行く積りであった。然し、これは東京から襲われる点に於て、牛込に居ると大した変りはないと思った。代助は旅行案内を買って来て、自分の行くべき先を調べてみた。が、自分の行くべき先は天下中何処にも無い様な気がした。しかし、無理にも何処かへ行こうとした。それには、支度を調えるに若くはないと極めた。代助は電車に乗って、銀座まで来た。朗かに風の往来を渡る午後であった。新橋の勧工場を一回して、広い通りをぶらぶらと京橋の方へ下った。その時代助の眼には、向う側の家が、芝居の書割の様に平たく見えた。青い空は、屋根の上にすぐ塗り付けられていた。