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それから

それから

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁

青空文庫

跣足で庭先へ飛び下りて冷たい露を存分に踏んだ。それから又縁側の籐椅子に倚って、日の出を待っているうちに、うとうとした。

門野が寐惚け眼を擦りながら、雨戸を開けに出た時、代助ははっとして、この仮睡から覚めた。世界の半面はもう赤い日に洗われていた。

「大変御早うがすな」と門野が驚ろいて云った。代助はすぐ風呂場へ行って水を浴びた。朝飯は食わずに只紅茶を一杯飲んだ。新聞を見たが、殆んど何が書いてあるか解らなかった。読むに従って、読んだ事が群がって消えて行った。ただ時計の針ばかりが気になった。平岡が来るまでにはまだ二時間あまりあった。代助はその間をどうして暮らそうかと思った。凝としてはいられなかった。けれども何をしても手に付かなかった。せめてこの二時間をぐっと寐込んで、眼を開けて見ると、自分の前に平岡が来ている様にしたかった。

仕舞に何か用事を考え出そうとした。不図机の上に乗せてあった梅子の封筒が眼に付いた。代助はこれだと思って、強いて机の前に坐って、嫂へ謝状を書いた。なるべく叮嚀に書く積りであったが、状袋へ入れて宛名まで認めてしまって、時計を眺めると、たった十五分程しか経っていなかった。