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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
線上閱讀辻村 伊助《スウィス日記(スウィスにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,275 字 · 410 頁
此の両側の断崖は無数の氷柱で、直立の岩壁は九百八十呎、欧洲第一の大瀑布、シュタウプバッハ Staubbach は、この両側にかかって居る。スウィスを旅した人で、この谷に遊ばないものは殆んどあるまい、かつて、ゲーテはここに遊んで上層の雲は破れて蒼空を見る、されど雲はなお断崖にただよえり、仰げば、彼のシュタウプバッハのかかれるあたりは、薄き霧にぞ覆われたる、おお! ein sehr erhabener Gegenstand.
Es ist vor ihm wie bei allem Grossen; solange es Bild ist, so weiss man doch nicht recht, was man will……
と書きかけたのは、千七百七十九年十月九日の午後六時半、彼れがトゥーンの湖を渡り、ウンテルゼーエンに舟をすてて、この大瀑布の下についたのは、同じ日の午後四時三十分であったと云う。
私は今、雪に埋れた白樺や、トウヒの密林を、汽車の窓から見あげながら、薄ぐらい谷底をのたくる、蒼白いリュチーネの流に沿うて、溯った時、空は晴れていたか、今は頭に残らぬくらい、ただ暗い暗い感じより外は、何物もなかった、そして、やや開いたラウテルブルンネンの村で下りて、かちかちに凍りついた村道を、その滝の直下、