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ななじゅうぶんかのとし
七重文化の都市
野上 豊一郎
線上閱讀野上 豊一郎《七重文化の都市(ななじゅうぶんかのとし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,586 字 · 27 頁
現在イブン・トゥルンのモスクを囲む一廓がその頃の遺跡として残っている。名称も今なおマスル・エル・アティカ(旧マスル)と呼ばれている。マスル(ミスル)はエジプトを意味するアラビア語である。
やがてトルコの勢力はまたアラビア人回教徒のために駆逐され、九世紀の末葉にはアハメド・イブン・トゥルンがマスルを拡張し、十世紀に入っては更にギリシア系の哈利発ムイズの代官ガウハル将軍が宏大な城廓を築いて市街を整頓し、モスクを建て列ね、町の名をもマスル・エル・カヒラと改めた。後に回教大学に改変されたガミ・エル・アザールもその頃建てられた。エル・カヒラ El-K※(サーカムフレックスアクセント付きA小文字)hira はアラビア語のカヒル K※(サーカムフレックスアクセント付きA小文字)hir(火星)の転訛で、それが都市の名称となったについてはおもしろい記録が残っている。九六九年八月五日の夜、ガウハル将軍は新都市の設計を完了して、砂原に繩張をし、占星者が天体を観測して、吉兆の瞬間に鐘を鳴らせば、最初の鋤が入れられるように用意して、土工たちは合図の鐘を待っていた。その時、一羽の大鴉が鐘の柱につないだ綱にとまったので、鐘が俄かに鳴り出し、土工たちは一斉に鋤を入れた。