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あるくこと

三好十郎の仕事 第三巻

三好 十郎

線上閱讀三好 十郎《三好十郎の仕事 第三巻(あるくこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,472 字 · 667 頁

青空文庫

双葉 ええ、兄さんの出て来たのは、八月の末ですから。

圭子 戦争中、やっぱり、そんな風な、なんかなすっていたんですの?

双葉 さあ、雑誌や新聞の仲間の人達と時々集まって、研究会みたいな事をしていただけじゃないかしら。ソヴィエットの通信員の人が、その会に二三度来たって言うんだけど、それも外国の情報を聞くと言った程度だったんですって。

圭子 ……しかし、たったそれ程の事で一年五カ月。――それも戦争がこんな風にならないでいれば、いつまでだったか……とにかく、あの時分と来たら、誰も彼も頭がどうにかなってしまっていたのね。

双葉 そう。……(もんだ菜に水をかけてかきまわし、その水を流しへこぼす)……だけど、誰も彼も頭がどうにかしているのは、あの時分と限らないじゃないかしら。今でもやっぱし、形こそ違え、同じ事じゃないかしら。……私はそう思うの。――つまり、もともと私たちの程度がまだまだ低いから、それが世の中がグラグラするたんびに、本性がさらけ出されて来るんじゃないかしら。仕方がないと思うの。当分がまんして、私たちみんなの程度の低さを、なんとかして高めて行くほかに、しようがないんじゃないかしら。