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みうらうえもんのさいご

三浦右衛門の最後

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《三浦右衛門の最後(みうらうえもんのさいご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,999 字 · 14 頁

青空文庫

男らしさのうちに女らしさがあり、凜々しさのうちに狡滑らしさがあった。肌に素絹の襦袢を着て単衣を着ている姿は、国持大名の小姓であることを語っている。見れば、はいている白足袋はほこりで鼠色になっている。腿立を取ったために見えている右の腓に一寸ばかりの傷があって、血が絶えず流れている。

「高天神の城へはどう行くのじゃ、教えてたも」と、ややせき心になって繰り返した。しかし子供は皆ぽかんとしている。この頃の子供は義務教育などで早熟されていないから、誰もはきはきと物がいえない。知らねば知らぬといえばいいのだが、それがなかなかいえない。皆ぽかんとしている。少年は三度問を重ねた。するといちばん年かさの子供がやっと口を開いて、

「天神さんのことけえ」というた。この声をきくと若衆はちょっとでも足を止めて、きいてみたのがばからしくなって、

「たわけ者め!」と子供たちに浴びせながら通り過ぎようとした。

ところがあいにく一人の子供が、まごまごして少年の行く手を立ちふさいだので足蹴にした。その子はよろよろよろめいて、溝の中へ尻餅をついてワッと泣き出した。そう痛くもなかったようだし、裸だから着物の汚れたわけではないのだから、そんなに大きく泣く必要はないのだが、かなり大きく泣いた。