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せいきの「ふんべつ」

世紀の「分別」

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《世紀の「分別」(せいきの「ふんべつ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,391 字 · 7 頁

青空文庫

無知、野蛮な専横ぶりを軽蔑した。だけれども、誰にだってその無茶苦茶ぶりがわかりきっている横柄ずくなやりかたに、いまさら楯つくのは大人気ない、という感情は、あのころの日本の一般的な気持であった。どうせあっちは暴力で来ている、馬鹿と気狂いの対手はするものでない。あえて抗せずの態度であった。

あの時分、日本の知性が「大人気ない」としてとった態度を思いかえすと、今になってはっきりしてくるいろいろな心理のコムプレックスがある。当時、国内国外呼応して発熱的に高まってきつつあったファシズムの暴力と圧力に対して、文化と教養に磨かれた精神はきわめて敏感であった。いつの時代でも、より精練された心情はより想像力に富んでいるから、当時の日本の知性は、ファシズムの野蛮さをめいめいの肉体の上に痛みとして感じ、不潔さとして嫌悪し、拷問を描いて恐怖した。日本の治安維持法は、実際に作家さえ虐殺したのだから。

ところが、その繊細な、ある意味では人間らしい嫌悪や恐怖に、日本の社会の歴史的伝統の著しい特色が加わった。そして今日外国の知識人がおどろいてそのころの日本の状態を理解しがたく感じるほどの知的麻痺がひき起された。