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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
右の通り『万葉集』の三つの歌体がみなうたわれた歌と、書かれた歌とを含んでいるのだが、これはつまり、その頃歌われていた日本の歌が大体右の三種類であって、文字的創作詩の方でもその歌体をそのまま採り入れたことを示しているものである。随ってまた、短歌四千百七十三首、長歌二百六十二首、旋頭歌六十一首という数は、そのまま三つの歌体の、歌謡または文字詩としてうたわれもし作られもした程度と正比例するものと見ることができよう。歌謡としても創作詩としても、断然短歌が優勢だったのである。このようなわけで、『万葉集』の頃には、まだ長歌・短歌・旋頭歌の三本立で、それも歌謡と創作詩とを併せ含んでいたものが、『古今集』以後になると、殆ど短歌一本立の創作詩専門といってよいくらいに変ってきてしまったのである。
このような変化を生じたのは何故かといえば、和歌という名称の用いられたのが漢詩との対立の意識または区別の意識からであり、したがって漢文学が実地に根を張っている宮廷周囲の文化圏の中においてであり、その範囲内の人たちが漢詩と対立させて嗜む和歌は、事実上文字に書く創作詩だけに限られてきたためである。