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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
ところが、絵画的ということに附随して歌の方に流れ込んだ今一つの特色があった。それは駄洒落である。一体古代の笑いは敵魔懾伏の魔法であったことが民俗学の方から次第に明らかにされて来ているが、そこまでは溯らなくても、奈良・平安時代の御神楽には、天鈿女命が岩戸の前で踊ったように、おかしな身振りをしたり、人を笑わせるつもりで、こそぐりをいったりすることがつきものになっていた。神の心をすずしめるには、人間のよろこぶものと同じものが必要だったのである。そうしたことが、後宮の女房の間にもなかったとはいえぬ。『万葉集』には志斐嫗というのが戯言で持統女帝の御相手を申しあげているが、そうした役の女房が後宮にも必要であった。皇后や中宮やのおそばをつとめる身分高い女房は、時には后の宮の妹君がつとめられたり、公卿の娘がつとめたりする。その中で下級の殿上人の娘くらいの者が、尻軽るにちょこまかと細かな役をつとめる下役の女房になる。駄洒落や軽る口をたたいて、宮の内に笑を作るのもこの身分のものである。清少納言などもそうした女房の一人であった。『枕草紙』にも「をかし」という形容詞が頻発するのを、ただ軽く「おもむきがある」