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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
にたよることによって、一層たしかに表現の技術を築きあげたことである。かくて、俊成のような隠者が、心から『古今集』に溺れるということが、なかなか根本の問題だということになるのである。
それに、『万葉』の学に秀でた六条家の人々でも、清輔のような作家の歌は、少しも万葉風ではない。
あさ霞ふかく見ゆるや煙たつむろの八島のわたりなるらむ
おのづから涼しくもあるか夏ごろも日もゆふぐれの雨のなごりに
薄霧のまがきの花の朝じめり秋は夕と誰かいひけむ
また顕昭のような人は『万葉』の学に如何に秀でても、そのために歌はよくならなかった。一時俊成の養子であった有名な歌人寂蓮と顕昭とは、『六百番歌合』の批評会(衆議判の席)へ欠かさず出て争ったが、ついに顕昭が「歌ほどやさしいものはない、寂蓮ほどの無学でもあのように名人になれる」というと、寂蓮が「歌ほど難しいものはない、顕昭ほどの大学者でも歌はまずい」と応酬した、という伝説のある通り、顕昭の歌は冴えなかった。
萩が花ま袖にかけて高円の尾上の宮にひれ振るや誰
という歌など、『万葉』に出てくる素材を扱ってはいるが、声調は全く万葉的とはいえないのである。