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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
春のくるあしたの原を見わたせば霞も今日ぞたちはじめける
さよふけて風や吹くらむ花の香の匂ふここちの空にするかな
春の夜はのきばの梅をもる月のひかりもかをる心地こそすれ
梅が枝の花に木づたふうぐひすの声さへにほふ春のあけぼの
春はなほ花のにほひもさもあらばあれただ身にしむは曙の空
花ざかり春のやまべを見わたせば空さへにほふ心地こそすれ
ささなみやしがの都はあれにしを昔ながらのやまざくらかな
おしなべて花のさかりになりにけり山の端ごとにかかる白雲
白雲とみねのさくらは見ゆれども月の光はへだてざりけり
花の色に光さしそふはるの夜ぞ木の間の月は見るべかりける
ながむれば思ひやるべきかたぞなき春のかぎりの夕暮のそら
これらの歌にすぐ感じられる事は、第一に嫋々とした余韻と、第二に自然を鑑賞する特殊の角度とである。まず第一の点であるが、一読して意味もよく解り、その上読みくだしてゆく言葉の調子がなだらかで心地よい。そのことが助けあって、一層抒情調をゆたかにしているのである。右のような点が『古今集』の正調にかえったといわれる点で、これは比べると、すべての意味で『金葉』『詞花』は才はじけた聡明な歌だが、眼で見、頭で詠んでいる感じがする。