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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁

青空文庫

塞翁が馬とは、よくいったもので、なにが仕合せだったか、なかなかわからないものである。

四十日間も雪が降らなかったお蔭で、二千二百フィートの高層雲の微速度撮影もでき、凝結核の論文も一つできた。そしてさいごに雪が十分に降って、二百枚の写真がとれ、交通杜絶の一歩手前で、逃げ帰ることができた。雪が降らないことは、よい口実になって、お蔭で、この人界を遠く離れた世界の妖しい美しさを、十分に味わうこともできた。夜は、ベッドの中で、空飛ぶ円盤の公式報告書を集めたものを、読んで暮した。果報は寝て待てというが、まさにそのとおりである。

十八日で観測は切りあげ、翌日は荷造り、二十日に下山、あとは方々への御礼廻りだの、税関だの、帰国手続だのをすませて、二十四日の晩には、ホノルルを立った。次の日はもう羽田であるから、世界もずいぶん狭くなったものである。

ところが羽田へ着いたら、たいへんなニュースが待っていた。花島博士たちの人工雪の研究が、この二カ月の間に大進歩をして、ある種の不純物の蒸気が、極微量でも空気中にあると、それが、雪の結晶の形を著しく支配するということが、実験的に確かめられたのである。