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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁

青空文庫

針の天国

もちろん気象台のトラックに乗ってではあるが。その時は一泊して帰り、一月の末ちかく、私たちが下山する前日にも、また泊りがけでやってきた。若い頃イギリスへ長らく留学した由で、ウィリアム・ラムゼイ卿の御弟子である。ケルヴィン、ラサフォード、アーレニウス、オングストロームなどという科学史上の人びとから、薫陶を受けた由で、話は非常におもしろかった。最初の時、ヒロの宿屋に鳥打帽を忘れていかれたのを、荘田君が喜んでかぶっていた。この帽子をかぶっていると、ノーベル賞が貰えるとでも思ったのであろう。二度目の時、その由をことわって返したら、にこにこしてかぶって帰られた。二人の勇士の働きぶりが、たいへん気にいって、遠征(エキスペディション)にはこういう人たちでなくちゃ駄目なんだ、といっておられた。

針の天国

もうそろそろ雪が降ってもよいころである。四十日近く待った甲斐があって、一月十三日になって、やっと降雪の予報があった。あすから降り出して、一週間近くつづくだろうという。それとばかりに菅谷君は、食糧と水とをもって、山頂小屋へ勇んで登っていった。

待望の雪は、次の日十四日の夕方から、降り出した。