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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁

青空文庫

板を一枚張っただけの壁は、隙間風が通り放題である。それに一万三千フィート以上になると、酸素不足のために、寒さが平地の倍くらいもこたえる。酸素のボンベは運んであるが、仕事を始めると、なかなか落着いて酸素を吸っているひまはない。私は簡単に陥落して、とうとう一晩も泊らなかったが、菅谷君は、通計一週間ばかり泊りこんで、小屋の内部を、天井も四方の壁も、全部テックスで張りつめて、やっと住めるようにした。小型発電機の設置もすみ、戸外に顕微鏡写真装置のための蔽いもつくった。顕微鏡写真は、戸外でないと寒さが足りないからである。

用意は万端ととのって、いつ雪がきてもだいじょうぶということになったのであるが、そのかんじんの雪が、ちっとも降ってくれない。十二月十五日と一月六日とに、ほんのわずかばかり雪が降ったが、写真が二、三枚とれた程度である。あとは毎日雲一つない青空で、これにはどうにも手のうちようがない。数年前に、驟雨綜合研究(プロゼクト・シャワー)が、この島でおこなわれたことがある。アメリカの気象学者が主体になり、それにイギリスやドイツの学者も加わっての大計画であった。