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ぶっきょうじんせいとくほん
仏教人生読本
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《仏教人生読本(ぶっきょうじんせいとくほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,886 字 · 246 頁
が、ここに性欲の別の見方、重大な活用法があるのでありますから、性欲もなかなか放置して置けません。
最近医学の進歩につれて、この性欲なるものは、人体内の諸所より血液中へ分泌される内分泌物、すなわちホルモンの司る作用であって、そのホルモンが血液に混じて体内をめぐり、一方性欲を惹起させ、他方また精神、肉体を強靱ならしめていることが実証されて来ました。そして性欲を濫費する時は、ホルモンの減少を来し、従って肉体精神の衰弱を来すことになり、これに反して、性欲を矯めて、ホルモンを適当に保存する時は、ちょうど、草の尖端をつめて、幹を太らせるように、精神力、体力を充実させ、それによって偉大な事業、絶大な忍耐、神聖な生活道程をなし遂げ得るのであります。
仏教では、この性欲などを三毒(貪・瞋・痴)のうち、貪(むさぼる本能欲)の中に入れて餓鬼の性質にしていますが、この貪を転向浄化せしむる時は、一切の善を求めて止まざる性質となりまして、遂には完全無欠の人格者すなわち仏陀の位にまで達せられると言うのであります。すなわち、この貪の性欲があればこそ、これを利用すれば人格完成の最後の幸福境に達せられるのですから、性欲の取扱い方もここにおいて非常に大切になって参ります。