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かめんのきょうふおう

仮面の恐怖王/電人M

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《仮面の恐怖王/電人M(かめんのきょうふおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 153,590 字 · 308 頁

青空文庫

「あっ!」

博士は思わず、小さな叫び声をたてました。

さっきまで、なにもなかったそのかべに、大きなMという字が、書きなぐってあるではありませんか。

「おい、木村君、きみが書いたのじゃないのかっ。」

博士はどなりつけました。

「とんでもない。ぼくがどうして、こんないたずらをするもんですか。先生のあとから、ぼくも、自分の部屋に行こうと思って、ドアに近づいたのです。そのとき部屋の中で、かすかな音がしたように思ったので、ふりかえってみると、この字があったのです。目にみえないやつが、黒いクレヨンかなにかで、書いていったのです。」

クレヨンならば、横にして書いたのでしょう。太さ三センチもある字です。またしても、ふしぎが起こりました。あいつは、きのうは、この部屋で、煙のようにきえたかと思うと、きょうは、まったく姿をあらわさないで、どこからか、はいってきて、かべに字を残していったのです。

すぐこのことを、警察に電話しましたので、捜査主任が部下をつれて、やってきました。そして研究室をもう一度、念入りに調べましたが、なんの手がかりもつかめません。秘密の通路なんかどこにもないことが、いっそう確かになったばかりです。