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かめんのきょうふおう

仮面の恐怖王/電人M

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《仮面の恐怖王/電人M(かめんのきょうふおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 153,590 字 · 308 頁

青空文庫

恐ろしく、きたない婆さんです。

ふたりは、電人Mの前の椅子に平気で、腰かけました。そして、こじき婆さんは、ふところを、もぐもぐやっていたかと思うと、すばらしい真珠の首飾りを、わしづかみにして、テーブルの上にザラッと投げ出しました。首飾りが、七つも八つも、からみあっているのです。

「きょうは、これだけです。最上級の真珠ですよ。銀座の宝玉堂で、この二十九号が(と紳士を指さして)やったのです。店を出たところに、わたしが、すわっていました。二十九号は、これをわたしのふところに、ほうりこんで、なにくわぬ顔で、歩いて行ったのです。

気のついた店員が、追っかけてきました。しかし二十九号の身体検査をしても、何もでてきません。店の前にすわっていた、このこじき婆さんが、ぐるだとは、だれも気がつかなかったのです。」

こじき婆さんが、太い男の声で、説明しました。どうやら、男が婆さんに変装しているらしいのです。つぶれているとおもった、片方の目も、大きく開いていました。

「うん、うまくやった。この真珠は、なかなか、質がいいぞ。しかし、こじきに化ける手は、もう使わない方がいい。いちどで、おしまいにするのだ。