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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

(源五郎と昭全は先に立ちてゆく。お妙は再び奥をみかえりながら、そっと出て行く。風の音。奥よりおいよ出づ。)

おいよ 源五郎がよび出しに来て、お妙さんは出て行ったらしい。丁度幸い、今のうちに……。(決心して。)そうだ、今のうちに……。

(おいよは身繕いする。風の音。行燈の火消える。)

おいよ (暗い中で。)おお、あかりが消えた。

――暗転――

二

おなじ村の川端。よきところに柳の大樹二三本ありて、岸には芦の花が夕闇に白く咲きみだれている。正面は川を隔てて山々みゆ。

(水の音。下のかたより源五郎とお妙、あとより昭全も出づ。)

源五郎 今もいう通りのわけで、一昨日の晩、昭全さんに飛び付いたのは、確におまえの姉さんだと云うのだ。

お妙 内の姉さんが狼のようになって、往来の人に飛び付くなぞと……。そんな事のあろう筈がないので……。(考える。)わたしにはどうしても本当とは思われませんよ。

源五郎 あんまり途方もないことで、おれにも本当とは思われないが……。それでもこの小僧さんは確に本当だというのだ。

昭全 (進みよる。)本当だ、本当だ。たしかに本当だ。わたしは松明の火で確に見たのだ。