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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
娘 え。
蛇 おまえのような美しい女の婿になりたいのだ。
娘 でも、親達が承知しないでは……。
蛇 親達などはどうでもよい。おれはお前と約束したのだ。
(娘は恐れて黙す。)
蛇 おまえの家はちゃんと知っている。今夜、酉の刻の鐘が鳴るのを合図に、おれはお前のところへ婿入りするのだ。いいか、忘れるなよ。
(云い捨てて蛇はしずかに歩み去る。娘はしばらく茫然としている。)
娘 さあ、大変なことになってしまった。あの蛇がわたしのところへ婿に来る……。まあ、どうしたらよかろう。蛇は執念が深いというから、一旦みこまれたが最後、どこまでもわたしに附きまとって来るに相違ない。あの蛇が……。あのおそろしい、いやらしい蛇がわたしのところへ婿に来る……。ええ、かんがえてもぞっとする。わたしがもっと強ければ、蛇なんか幾匹押し掛けてたって、門口から追い払ってしまうのだけれども、わたしは女だ……弱い女だ。おとっさんやおっかさんも年をとっている。わたしの家には強いものは一人もないのだ。こうと知ったらあの蛙を救ってやるのではなかったものを……。ああ、わたしは飛んだことをして、飛んだものにみこまれてしまった。