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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)が双ヶ岡の方角へ笠を深うして行かれたと教ゆる者がござったので、取りあえずこちらへ辿ってまいった。して、その姫はここへ立ち寄って、道を問われたか、但しは水か薬の所望か。どうでござった。」
「いや、そのようなことではない。」
「では、何しにまいられた。」
しつこく穿索するので、兼好も煩さくなったらしい。ぬれた手で鼻の下をこすりながら無愛想に答えた。
「はて、しつこい和郎じゃ。ただ足休めに立ち寄られたまでじゃ。別に子細はないと言うに……。」
そのままに彼にうしろを向けて、兼好は再び鍋の粟をざらざらと洗い始めた。若い侍はもうこの上に詮議の仕様もないのと、二つには相手の無愛想に気色を悪くしたらしい。そのまま黙って行きかけたが、また立ち戻って来て声をかけた。
「して、姫はここを出ていずかたへ行かれた。」
「知れたことじゃ。京の方へ……。」
半分聞いて、侍はあわただしく引き返して行った。兼好は粟を洗ってしまって、さらに蕪を刻み始めると、どこやらの寺で入相の鐘を撞き出した。うす寒い風が岡の麓から吹きあげて来た。
「御庵主、物もう。