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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
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玉虫 おお、これでめでとう祝儀も済んだ。これからは色なおしに、わらわが一とさし舞いましょう。
(玉虫は檜扇を持ちて起ちあがり、はじめはしずかに舞う。)
唄※(歌記号、1-3-28)世は治まりて、西海の浪しずかなり、岸の姫松はみどりの枝をかわして、沖にあそぶ鴎の影白し。見渡すかぎり、山も海も遠く連なりて、画くがごとき眺めかな。
(このあたりより舞はようやく急なり。)
唄※(歌記号、1-3-28)ときに不思議や、一天にわかに掻きくもり、潮はどうどうと怒り立ち、百千の悪鬼羅刹は海の底よりあらわれたり。
(玉虫は足拍子を強くふみて、両人に向ってじりじりと詰めよる。与五郎と玉琴は毒酒にあたりし体にて、身神俄かに悩乱す。)
唄※(歌記号、1-3-28)口にはほのおの息をふき、手にはくろがねの矛をふるい、恨み重なるかたきの奴原、一人も余さず地獄へ堕せと、熱湯の池、つるぎの山、追い立て追い立て急ぎゆく。凄まじかりける次第なり。
(玉虫は舞いながら、檜扇をあげて与五郎を丁々と打つ。玉琴は這い寄って支えんとするを、玉虫はおなじく打つ。与五郎は太刀を抜きてよろめきながら斬ってかからんとすれども、身は自由ならず、いくたびか倒れて遂に縁よりまろび落つ。