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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
それにつけても憎いは侍従という女め、由ないことを父上の前で吹聴して、あまつさえ忍びの文使いの役目までも引き受くる。あのような者がお側にあっては、父上のためには勿論、わが家のためにも良うない。かれめを早う追い払えと、以ってのほかの御気色であったを、それがしがいろいろに押しなだめて、まずは沙汰止みにいたしてまいった。先きほどお身にゆき逢うたはその戻りがけじゃ。諺にもいう犬も朋輩、鷹も朋輩、一つお館に奉公するお身の難儀をそれがしもむなしく眺めてはいられぬ。それがしの訴訟で、一旦は沙汰止みになったものの、日頃から癇癖の強い若殿じゃ。また重ねて何事を申し出さりょうも知れまい。それもこれも根もとは塩冶の奥の一条じゃで、その成り行きが案じらるる。またそれがために大殿と若殿とが御親子不和の種を播くように相成っては猶々大事じゃ。のう、大きく申せばお家の大事、また二つにはお身の大事、いずれにしてもただ安閑と眺めてはいられぬ時節じゃで、それがしもこうして密々に訊ぬるのじゃが、どうじゃ、お身。これでも正直に明かしてはくれぬか。」
主家に忠義、朋輩に親切、あっぱれの武士じゃと褒められたいような彼の口ぶりを、侍従はもちろん相当の割引きをもって聴いていた。