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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
朝の寒さの身にしみて来た二人は黙ってその火のまわりに這い寄ると、眇目の男も黙って鍋の煙りを眺めていた。
あたたかい粟の粥をすすって、小坂部も采女も余ほどはっきりした心持になった。眇目の男は枯枝の火を踏み消して、さきに立ってこの洞穴をぬけ出すと、あさひはそこらに散り敷いている落葉を一面に美しく照らしていた。二人は黙って彼のあとを付いて行った。ゆく時に、二人は川のおもてを再びのぞいたが、岩に堰かれて白くむせんでいる水の上には、落葉がもつれ合って浮かんでいるばかりで、侍従の姿はやはり浮かび出なかった。小坂部の口からは低い溜め息がもれた。
怪しい異国の男に伴われて、これから一体どこへ落ちてゆくのか、二人にはよく判っていないのであるが、半分は夢のような心持で唯おめおめと引き摺られて行くと、男は一里ほども川伝いにたどって行って、それから狭い河原を越えて、むこうの河岸のさびしい村に出た。人家はまばらに続いていて、その間には稲の黄ばんだ田も見えた。村を過ぎ、田圃みちを越えて行くと、また低い丘の裾に行き着いた。男は二人を森の中に待たせて置いて、再びどこかへ食い物を探しに行ったが、今度は握り飯に乾魚のあぶったのを取り添えて持って来た。