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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

旅の男 御もっともです。

李中行 お前さんも尤もだと思うなら、私があらためて頼みます。幸い今夜は十五夜で、酒も肉も用意してあるから、それを青蛙神にそなえて、わたしに纏まった金を授けて下さるように祈っては下さるまいか。

旅の男 わたしが祈るのではない。おまえさんが自分で祈るのです。

李中行 では、わたしに祈らせて下さい。

柳 もし、お前さん……。(再び袖をひく。)

李中行 まあ、いいと云うのに……。(男に。)もし、どうぞ願います。

旅の男 本来ならば唯で拝ませることは出来ない。私にも相当のお賽銭をそなえて貰わなければ困るのだが、余人とちがって、お前さん達には色々の御世話にもなっているから、唯で拝ませてあげましょう。

李中行 (熱心に。)拝ませて下さるか。ありがたい、有難い。

柳 (不安らしく。)お前さん、そんなことは……。

李中行 うるさいな。まあ、なんでもいいから俺に任かせて置け。

(男は腰につけたる巾着より鍵をとり出して、箱の錠をあける。そうして、口のうちにて何か呪文を唱えると、箱のうちより三足の青い蝦蟆一匹が跳り出でて、卓のまん中にうずくまる。李の夫婦は驚異の眼をみはって眺める。