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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

)ああ、やっぱり中二君だ。降り出して困ったでしょう。

中二 雨は仕方もないが、ここらは路が悪いのと暗いのでね。(外套をぬぎながら。)町から来ると、まったく閉口ですよ。

李中行 町に住み馴れたと思って、そんな生意気なことを云うなよ。お前もここで生れて、ここで育った人間ではないか。

中二 阿母さんは……。奥ですか。

(李はうなずく。中二は榻に腰をかけて、巻煙草を喫いはじめる。)

高田 今夜もお泊まりだそうですね。

中二 ええ。親父やおふくろが頻りに寂しがるので、主人にも訳を話して、まあ当分は一晩置きぐらいに泊まりに来ることにしているんです。(思い出したように。)ああ、丁度好い。高田さん、あなたからも親父に云い聞かせて頂きたい事があるんですがね。

高田 どんなことです。

中二 御承知の通り、妹が今度の災難について、あなたの工場から三千二百円の弔慰金をとどけて呉れたでしょう。勿論、葬式や何かで幾らかは使いましたけれど、三千円余りの金はまだ残っているんです。その金を差当りどうすると云うことも無いんですから、町へ持って行ってどこかの銀行へ預けて置けと云うんですが、親父がどうしても承知しないんです。