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のぶこ

伸子

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《伸子(のぶこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 頁

青空文庫

彼は先ず朝来て、一通り必要な買物をした。湿布の交換などを手伝う。大学に時間があると一旦去り、三時か四時、或はもっと早く再び訪ねて来る。そして大抵夜まで止った。病人の寝台の左右に黙って永いあいだ腰かけていることがある。熟睡した病人のところから忍び足で次の間に来、沈黙勝ちに茶を飲むこともある。そのような時、カサッとシイツが鳴るような音がしても、神経質になっている伸子はぎくりとして耳をそばだてた。佃はすぐ彼女の心持を察したらしく、席を立ち爪立って境のカーテンの間からそっと病人を覗いた。またそっとカーテンを元通りに閉じながら、彼は頭を横に振る。伸子は病人が何事もなくやはり眠っているのを知って頷く……佃がそんな長時間を彼女らとともに過すことが、伸子に何の不思議も感じさせなかったほど、彼は生活に必要な人となっていた。佃があまり暇つぶしをすると、心配して病人が、

「どうもとんだ御迷惑をかけますな。今日は大分楽ですから、どうぞ御遠慮なく……伸子、よかろう?」

などと云うことがあった。けれども、佃は落着いて答えた。

「私はいそがしければ勝手に失礼致しますから、気をお揉みなさらない方がようございます。