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「やまとみんぞく」とはなんぞや

先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選

喜田 貞吉

線上閱讀喜田 貞吉《先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選(「やまとみんぞく」とはなんぞや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,063 字 · 389 頁

青空文庫

或いは昔はそんな区別の認められる場合が多かったかは知れぬが、今日ではすべてのものが入れ交って、殆どその区別の無いのが常である。

斐太と云い、上路と云い、その地名なり、俚伝なりに、先住民の匂いがそこに残されているのではあるが、しかしそれはただに斐太と上路とに限られたものではなく、西越後から信濃、越中、飛騨へかけて、所謂日本アルプスを中に取った一帯の山地には、今も台湾の東部山地に先住民が旧態を存している様に、かつては異族のものが少からず遺されていたのであろう。そしてその一方に所謂飛騨人の存在が認められ、他方には上路の山姥や、信州戸隠山の鬼の伝説も起ったのであろう。しかもこれはひとりこの地方のみならず、他の山間地方にもかつては同一現象が認められたものであったに相違ない。そしてその一つとして所謂ケットの名は、それが毛人を意味する事において最も多く興味を惹かされるのである。

奥州北部の海岸に、蝦夷と言われ、アイヌと呼ばれた部落が、江戸時代までも多く取り遺されていた事は前に述べた通りである。けだし彼らはその地が海岸に隔絶して、他と交通が少かったのと、一つは豊富なる漁利によって、他の脅威を受くる事なく安穏に生活することが出来たとの為に、永く固有の状態を継続する事を得たのであった。