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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《凡人伝(ぼんじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 頁

青空文庫

一番になれますようにと拝む時丈けでは申訳がない。心願果しの意味も手伝って、これを心掛けた。しかし友達と話しながら歩いて、つい忘れることがある。そのまゝ気がつかないこともあったが、思い出すと駈け戻ってお辞儀をして来る。或日丁度それが、先生のお目に留った。

「河原さんは感心ですな」

と先生は褒めてくれたばかりでなく、教場で紹介して、

「皆さんはこれも河原さんをお手本にしなければなりません」

と修身科の材料にした。

私は同級生の模範丈けで満足せず、下級生の世話を焼いた。一年生は帰りに道草を食う。三々五々、彼方へ寄ったり此方へ寄ったり、決して真直に歩かない。蛇が蛙を呑むところへでも来合せようものなら、悉皆消化してしまうまで見ている。

「君達、お父さんやお母さんが待っているんだから、早く帰らなければいけませんよ」

と私はもう三年生だった。

「何でい?」

「何でいとは何ですか?」

「お前先生か?」

「先生じゃないけれど、道草を食っちゃいけませんよ」

「何でい?」

と一年生は礼儀を知らない。以来私の顔を見る度に、

「何でい?」

とやる。二年生も似たり寄ったりだ。或日のこと、私は二三名が路傍で犬の子を苛めているところへ追いついて、