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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣難女難(けんなんじょなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 頁
と、また一人が飛び出して喉輪へグッと閂を入れる、と思うと、見る間に八方からばらばら押しかぶさった人数、真っ黒に揉み合った。
大酔していると見て生け捕る算段。
「御曹子、神妙にしろ」
「じたばた致すな、貴様を尾けまわしていた山手組だ」
「こうなれば、袋の鼠、素直に往生してしまえ」
各※(二の字点、1-2-22)、手捕り足取り、ある者は刀の下緒を解いて口に扱き、あるものは髻を掴んで押さえつけた。
「卑怯な奴めら……」
新九郎は大地に倒されながら叫んだが、その姿も見えない程、多勢の体に乗しかかられていた。
「卑怯なとは汝のことだ。臂の久八その他の身内を騙し討にした覚えがあろう。のみならず、生不動の冷飯食いの分際で、近ごろ侠客風を吹かすばかりか、先日は忍ヶ岡で、この山手組へ生意気な腕立て」
「罰当りめ、覚えていたか」
「今日こそ深見の屋敷へ引っ立てて、思う存分目にもの見せてくれるのだ」
「ええ、何を汝らに……」
「この野郎、半殺しにして引っかついでしまえ」
「ちっッ!」
仰向けざまの新九郎が、寝ながら不意に抜き払った居合の妙。
「あっ!」
と、油断の面を切ッ尖に撫でられたのがたしかに二、三人、顋を押さえてパッと飛び開いた。