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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《勝ち運負け運(かちうんまけうん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 頁

青空文庫

その上に可なりやった自信がある。

「さあ。天下晴れて遊べるぞ」

と僕は菊太郎君を慰労する積りだった。

「うむ」

「何処かへ廻ろうか?」

「直ぐ帰ろう」

「元気がないね。何なら乃木坂でも宜いよ」

「さあ」

「行こう」

「矢っ張り帰って寝る方が宜い。頭痛がして仕方がないんだ」

と菊太郎君は顔色が悪かった。

「頭を使い過ぎたんだろう」

「然うだよ。随分無理をしたから、神経衰弱になったんだ」

「まさか。然う急に来るものじゃない」

「いや、僕はこんなに勉強すると神経衰弱になると思った。直観があったんだ」

「当分よく寝ることだよ。直きに癒る」

「大したこともあるまいけれど、用心しよう」

「乃木坂を発起しても動かないところを見ると余っ程痛いんだね」

「今朝からだよ。実は漸くのことで頑張ったんだ」

「それじゃ早い方が宜い」

と僕の方から促して、直ぐに帰って来た。

翌朝、誘い出す積りで行って見たら、菊太郎君は寝ていた。風邪らしいと言う。熱があった。僕は毎日見舞いに行ったが、毎日同じようだった。一週間ばかりたって成績の通知が来た時、二人は鼻が高かった。僕が六十五番で菊太郎君が五十八番だった。単に席次としては自慢出来ないが、二百人余りの中から、優に中軸を突破している。