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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《勝ち運負け運(かちうんまけうん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 頁

青空文庫

損と得の開き

損と得の開き

卒業証書を貰って来た日の晩だった。心祝いとあって、お赤飯に尾頭つきで、店員達が居並んだ。

「日出男もお蔭で何うにか斯うにか……」

と父親が控え目に披露をした後、

「実は思いの外の成績でしたから、喜んでいたゞきたいと存じまして」

と母親が宣伝した。この挨拶で僕のところの家風が分る。親父は評点が辛い。母親は無暗に甘い。チャンポンだから、変な息子が出来上ってしまった。菊太郎君のところも同じ傾向を免れない。僕と菊太郎君が似通っているのもその為めだろう。

「お芽出度うございます。若旦那、御苦労さま」

と丸尾さんが代表して、一同頭を下げた。爾来十数年、人間の運命は分らないものだ。この丸尾さんが当てた。昨今は立派な店を構えて、僕のところよりも盛大にやっている。

「大学を出れば大学者ですから、もうこの上はありませんな」

「私達小学者とは違います」

「もう学問だけでも一本立ちになれるんですから、豪いものです」

と他の番頭達もそれ/″\お祝いを述べた。お世辞もあったろうけれど、誤解もあった。大学卒業生が未だ今日ほど行き詰まらない頃だった。

「若旦那、大学の免状ってものを一遍拝ませていたゞけませんか?」