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じゅうはちじのおんがくよく
十八時の音楽浴
海野 十三
線上閱讀海野 十三《十八時の音楽浴(じゅうはちじのおんがくよく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,941 字 · 210 頁
洞穴から外へ出てみると、かつて科学雑誌に出ていた一千万年後の世界という絵そっくりの街があらわれた。まず目についたのは、路が縦横上下に幾百条と走っていることであった。このおびただしい道路は、一つとしてフルハタの知っている道路のように十文字に交叉していなかった。いずれも上下にくいちがっているので、横断などというようなことがなく、どこまで行っても、信号で停められるといったようなことがない。
さらにおどろいたことは、この道路のうえに、自動車みたいな乗り物が一つも見えないことだ。そして人間が、まるで弾丸のように、しゅっしゅっと走っている。その速さといったら、たいへんなものである。
「ずいぶん、あの人たちは、駈けだすのが速いですね」
とフルハタが赤毛布のような歎息をはなつと、チタ教投はまたほほほと笑って、
「ちがいますよ、フルハタさん。あれは人間が駈けだしているのではなくて、道路が動いているのです。昔の道路は、じっと動かないで、そのうえに自動車だとか列車とかが走っていたそうですね。今の道路は、いずれも皆、快速力で動いているのです。人間がその上にのれば、どこまででも搬んでくれます」