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じゅうはちじのおんがくよく

十八時の音楽浴

海野 十三

線上閱讀海野 十三《十八時の音楽浴(じゅうはちじのおんがくよく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,941 字 · 210 頁

青空文庫

「いや、もうそのへんにてよろしい。では、一つ、重大なる発明の特許出願を、あんたに頼むことにするから、一つ身命を拗げうってやってもらいたいです。いいですかな」

身命を拗げうっては、どうもおかしいが、客の真剣味が窺われて、余は大いに好意を沸かした。

「承知いたしました。それでは、早速ながらそのご発明というのを伺いましょう」

「待った。発明は極秘である。お人払いが願いたい」

「お人払い? 給仕の外に、誰もいませんが……」

すると客は、恐ろしい顔をして、首を左右にふった。給仕もいけないというのか。余は、発明の秘密性を守らんとする客の心情を尤もなることと思い、絵仕のところへいって、

「おい、高木、日比谷公園へいってブランコで遊んでこい」

と、いうと給仕は、

「先生、雨が降っていますよ」

「雨が降っている? そうだったな。じゃあ、ニュースでも見てこい」

と二十五銭くれてやった。給仕は、よろこんで、茶を出すことも忘れて、飛び出した。

「では、どうぞ」

「入口の扉に、鍵をかけられましたか」

「鍵?」

「そうです。重大なる話の途中に、人が入って来ては、困るじゃないですか」

「はあ、なるほど」