輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なんきんむしさつじんじけん

南京虫殺人事件

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《南京虫殺人事件(なんきんむしさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,660 字 · 26 頁

青空文庫

「ここに五十五個の南京虫がある。五十四は奈々子の家からでてきたが、一ツは陳の邸内の犯人がとび降りた地点で拾ったものだ。どれがそれか判るかね」

「判るわ。腕輪のついてるのがそれよ」

「そうだ」

次に父は被害者の現場写真をとりだして、娘に示した。

「この写真を見てごらん。なにか気のつくことはないかね」

それは安らかに死んでいる奈々子の上半身であった。注射をうたれて死んだのだから、左の腕は肩の近くまで袖がまくれているが、それ以外は特に変ったこともない。

「特に気のつくことって、なさそうじゃないの」

「では、次に、これだ」

父は証人の証言をとじたものを開いて、一ヵ所を探しだした。

「ここを読んでごらん」

それは附近の時計商の証言であった。それによると、当日の午すぎに奈々子が南京虫を一ツ売りにきた。売った金で、今度は時計の腕輪を買って戻ったというのだ。時計を売ったから、むしろ腕輪の不要品が一ツふえた筈なのに、腕輪を買って戻ったから、甚だ奇異に思ったと時計屋は語っているのである。

「そうねえ。時計屋さんはフシギがったでしょうね」

「お前はフシギじゃないのか」

「だって、彼女は持たないから買ったんでしょうね」