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こじきものがたり
古事記物語
鈴木 三重吉
線上閱讀鈴木 三重吉《古事記物語(こじきものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,723 字 · 191 頁
「ここはどこか」とおたずねになりました。阿知直は、
「中津王がお宮へ火をお放ちになりましたので、ひとまず大和の方へお供をしてまいりますところでございます」とお答え申しました。
天皇はそれをお聞きになって、はじめてびっくりなさり、
「ああ、こんな多遅比の野の中に寝るのだとわかっていたら、夜風を防ぐたてごもなりと持って来ようものを」
と、こういう意味のお歌をお歌いになりました。
それから埴生坂という坂までおいでになりまして、そこから、はるかに難波の方をふりかえってご覧になりますと、お宮の火はまだ炎々とまっかに燃え立っておりました。天皇は、
「ああ、あんなに多くの家が燃えている。わが妃のいるお宮も、あの中に焼けているのか」という意味をお歌いになりました。
それから同じ河内の大坂という山の下へおつきになりますと、向こうから一人の女が通りかかりました。その女に道をおたずねになりますと、女は、
「この山の上には、戦道具を持った人たちがおおぜいで道をふさいでおります。大和の方へおいでになりますのなら、当麻道からおまわりになりましたほうがよろしゅうございましょう」と申しあげました。