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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
わか水やよべより井桁越せる音 孚先
年立つ朝の水はどこでも若水と称えるが、この井戸はまた格別である。溢れやまぬ水は絶えず井桁を越して外へ落ちる。持越した去年の水は溢れ尽して、真に新なる水ばかりを湛えているような気がする。
井は水の豊なるよりめでたきはない。井桁をこぼれる水の上に、しずかに元朝の光のゆらぐ様を思えば、自ら爽快の感を禁じ得ぬものがある。
廊に蓬莱重きあゆみかな 友静
「廊」は「ワタドノ」あるいは「ホソドノ」とでも読むのであろうか。蓬莱といえば飾ってあるところの句が多いのに、これは運ぶ場合であるのが珍しく思われる。蓬莱を大事に捧げて、長い廊下をしずしずと歩く人の姿が眼に浮んで来る。「蓬莱重きあゆみ」というだけで、運ぶ様子を髣髴せしめるのは、技巧というよりもむしろ真実の力であろう。
八日
薺粥またたかせけり二日酔 洗古
七種の日に飲み過ぎて、宿酲未ださめやらぬ結果、薺粥をもう一度炊くことを家人に命じた、というのである。七日のものときまっている薺粥を、翌日にまた炊かせたというところに、破格というのも少し大袈裟であるが、一種の面白味がある。