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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
山焼て峯の松見る曇かな 魚口
この句において多少の疑問があるのは、「山焼て」という言葉にかかる時間である。山を焼いて然る後、どの位の時間を経ているか、それによってこの句の味は異らなければならぬ。
山焼の済んだ後の峯に、何本かの松が聳えている、焼かれてややあらわになった山の頂の松が、曇った空に高く見える、という風にも解釈出来る。
もう一つは現在なお山を焼きつつある場合で、煙はそこら一面に流れている、峯頭の松もその煙のために曇って見えるか、あるいは実際曇った空に聳えているか、とにかく山焼が現に行われているものと解するのである。
「山焼て」という言葉は、本来はっきりした時間を現していないから、何方にも解し得ると思うが、再案するに「峯の松見る曇かな」という十二字には、しずかに落著いた空気が含まれているので、現に火が燃えている――山を焼きつつあるものとすると、感じの上においてそぐわぬところがある。やはり山を焼いてから多少の時間を経過したものと見るべきであろう。
にくまれてたはれありくや尾切猫 蘆本
猫の恋を詠んだ句は、比較的漠然たる趣のものが多く、猫そのものの様子なり、動作なりを現したものはむしろ少い。