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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

膳上の蠅を打つ音に驚いて、下にいた猫が飛出した。「飛出ル」の一語で、猫の驚いた様を現している。同時に人間の方も、多少不意を打たれたような気味がある。

大した句ではないが、空想ではちょっとこの趣を捉えにくい。画にすれば俳画よりも漫画に近いものであろう。

家なみのはなれ/\やけしの畑    竹夜

家並が尽きて家が離れ離れになる。そういうところに芥子畑があって、花が盛に咲いている、という趣である。離れ離れの家の間が芥子畑だというほど、景色を限定しなくても差支ない。離れ離れに建っている家と、芥子畑とが一幅の画図に収りさえすればいいのである。

形容の大まかな割に、印象の明な句である。われわれもかつてどこかでこんな景色を見たような気がする。

あからみし麦や正木の垣間より    巴流

青い正木垣の間から麦畑が見える。その麦は已に十分に熟している。――垣根の直ぐ外まで、麦畑が迫っている場合と思われる。

作者は一望黄熟した麦圃の大景をも描かず、繁忙な麦秋の人事や、それに伴う埃っぽい空気をも描かず、正木の垣の間より瞥見した熟麦の色だけを捉えた。特色ある句というべきであろう。