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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

ここにいう「無分別」は今のいわゆる無分別ではない。浜田珍碩が洒落堂の戒旛に「分別の門内に入るをゆるさず」と書いたのと同じ意味である。風雅の骨髄は世間の理窟の外にある。今の無分別と紛れぬように言い換えれば、分別を離れたところに風雅の天地がある、ということになるのであろう。木因はこの無分別を以て「無尽の宝」とし、句においても「一の秘蔵の無分別」と繰返している。元日の朝だけ分別を離れているのなら格別のこともない。平生この心を一の秘蔵としていることを、今更の如く元日に当って省るのである。われわれも木因のこの宝に敬意を表せざるを得ない。

三方の海老の赤みや初日影    昌房

三方の上に飾ってある海老の赤い色に、うらうらと初日の影がさして来る、という風に限定して考えないでも、初日の光がさし上るということと、三方の上の海老の赤いのとを、新春の景象として受取ればいいのである。ありふれた材料ではあるが、そのありふれたところにまた新年らしい感じがある。ただ「赤み」という言葉は、普通にはもう少し色彩の薄い場合――少くとも海老ほど真赤でない場合に用いられるものかと思うけれども、あるいはわれわれだけの感じかも知れぬ。