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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

短夜の碁を打分の名残かな    喜重

人が来て碁を打つほどに、夏の夜はずんずん更けて行く。更けて行くばかりではない、もうしらしらと明けるのではないかという気がする。先刻から何番打ったかわからぬが、未だ勝敗が決しない。名残惜しいけれども、このまま打分にするという句意である。

「名残」という言葉は無論碁の上にかかっている。同時に心持の上において、明やすき夜に通うところがある。そこにこの句の巧があるのであろう。

虫干や鼓にたゝく書物箱    此山

曝書というと書物のみに限られるようだが、虫干といえば包含する範囲が広くなる。この句は虫干の中における書物の場合である。

本箱に入った書物を皆出して、からになったのをポンポンたたく。それを鼓に見立てたのである。「鼓に」は「鼓の如くに」の意であろう。虫干の最中に興じて鼓の真似をしたとまで解さなくてもいい。埃を払うために背中からポンポン打つ。それを鼓を打つようだ、といったものと見ればよかろうと思う。

本箱といわずに書物箱といったのは、字数の関係とも見られる。しかしこういう風に置かれて見ると、書物箱という言葉は言葉で、本箱とは違った味いを持っているような気がする。