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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

炭竈の髭男はもともとそこに一人しかいない役者であろうが、これは鷹野における人数の中から、特に若衆役を持出した点に一種の技巧がある。画のような趣である。

餅搗や捨湯流るゝ薄氷    晩柳

餅搗の場合に湯をこぼす。その湯が白い湯気を立てながら、薄氷の方へ流れて行く、というだけのことであろう。薄氷のミシミシと音して解ける様、一面に立つ湯気の白さまで、眼に浮んで来るように思われる。

元禄時代のこういう句を見る毎に、われわれはいつも真実の力を痛感する。写生といっても、実感といっても畢竟同じことである。如何に句を作る技術上の練磨が発達したところが、それだけでこういう句を得ることは不可能であろう。

麦まきの藪をへだつる西日かな    吾仲

現在麦を蒔きつつある畑の向うに藪があって、その向うに夕日がかかっている。藪があるだけ、日の傾くことも多少早いわけであるが、同時にその藪によって平野の単調を破っている感がある。単に傾きつつある西日というよりも、藪の秀がこれを隔てるという方が、景色の上に或まとまりを作ることになるからである。

麦蒔に夕日を配した句は、この外にもなお「麦蒔のうしろ淋しき入日かな 支庸」