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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(四)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,105 字 · 337 頁
机のまわり、床の間、違いだな、残らず見まわしたが、その違いだなにそれを使って書いたらしい半紙とすずりがあるきりで、なにひとつ不審と思われる品はないのでした。
「あやまったね。しかたがねえや。おまえさん歩をお持ちだというから、代わって王手をしてもらうかね……」
つぶやきながら、じろりじろりと、なお丹念にあちらこちらを見ていたが、ふとそのとき気がつくと、いまだにうち震えながらへやのすみにたたずんでいた女中の右手の指先に、墨がついているのです。腕の腹にも、着物のたもとにも、まさしく墨のしみが見えるのです。
不意でした。
何思ったか、とつぜん、にやりと笑いながら違いだなの上のすずりと紙を持ち出すと、不思議なことを女中に命じました。
「これへ名を書け」
「…………」
「なにを震えているんだ。急にそんなにまっさおにならんでもいい。書けといったら、早く名を書け」
「か、か、書きます。書けとおっしゃれば書きますが、名と申しますと……?」
「あんたの名まえさ。それから、生まれたところ、いつ当家へ奉公に来たか、それまではどこで何をしていたか。詳しく書きな」
「…………」
「なぜ書かねえんだよ! 八丁堀のむっつり右門がいいつけだ。