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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(四)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,105 字 · 337 頁

青空文庫

右門捕物帖

1

その第三十四番てがらです。

事の起きたのは九月初め。

蕭々落莫として、江戸はまったくもう秋でした。

濠ばたの柳からまずその秋がふけそめて、上野、両国、向島、だんだんと秋が江戸にひろがると、心中、川目付、土左衛門舟、三題ばなしのように決まってこの三つがふえる。もちろん、心中はあの心中、川目付は墨田の大川の川見張り、やはり死によいためにか、十組みのうち八組みまでは大川へ入水して、はかなくも美しい思いを遂げるものがあるところから、これを見張るための川目付であるが、土左舟はまたいうまでもなくそれらの悲しい男仏女仏を拾いあげる功徳の舟です。

公儀でお差し立ての分が毎年三艘。

特志で見回っているのが同様三艘――。

幡随院一家が出しているのが一艘に、但馬屋身内で差し立てているのが一艘。同じく江戸にひびいた口入れ稼業の加賀芳一家で見まわらしているのが一艘と、特志の土左舟はつごうその三艘でした。墨田といえば名にしおう水の里です。水から水へつづく秋のその向島に、葦間を出たりはいったり、仏にたむけた香華のけむりを艫のあたりにそこはかとなくなびかせながら、わびしいその土左舟が右へ左へ行き来するさまは、江戸の秋のみに見る悲しい風景の一つでした。