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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(四)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,105 字 · 337 頁

青空文庫

それだけなのです。

「さあ、できた。ねぐらへ帰って、いい夢でも見ようぜ。きょときょとしていると、置いていくよ……」

居合い切りのようなあざやかさでした。鳴るひまも、ひねるひまも、声をはさむすきさえないのです。さっさと風のように八丁堀へ帰っていくと、ぶつぶつと口の中で何かいっている伝六をしりめにかけながら、ふくふくと夢路を急ぎました。

と思うまもなく、明けるに早い春の夜は、夢いろの暁にぼかされて、しらじらと白みそめました。同時です。ぱたぱたという足音がしののめの道にひびいて、表の向こうからあわただしく近づきました。

「つれたな……!」

ぐっすりと眠りに落ちていたかと思ったのに、さすがは名人右門、心の耳は起きていたのです。足音の近づくと同時に、がばと起きあがって待ちうけているところへ、三庵の家の下男が、案内も請わず内庭先へ飛び込んでくると、密封の一書を投げこみながら、そのまま急ぐようにせきたてました。

「すぐさまお運び願えとのことでござりました。なんでござりまするか、委細は手紙の中にしたためてあるそうでござりますゆえ、お早くお出まし願います」

うろたえた文字で、走り書きがしてあるのです。