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きらこうずけのたちば

吉良上野の立場

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《吉良上野の立場(きらこうずけのたちば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,369 字 · 24 頁

青空文庫

梶川が、

「あっ!」と、低く叫んで立ち上った。上野は、

「何をする!」と、叫んだ。内匠頭の手に、白刃が光っていた。

上野は、よろめいて躓くように、逃げ出した。内匠頭が及び腰に斬りつけたとき、梶川が、

「何をなさる!」と叫んで、組みついた。

七

「内匠頭は、切腹と決りました」と、子の左兵衛が枕元へ来ていった。

上野は、横に寝て、傷の痛みに顔を歪めていたが、

「そうだろう」と答えた。

「お上では、乱心者としてもっと寛大な処置を取ろうとなさいましたが、内匠頭は、乱心でない、上野は後の人のために生かしておけんなどと、いろいろ理屈をいったそうで、とうとう切腹に……」

「あの意地張りの気短め、どこまで考えなしか分かりゃしない。そして、殿中ではどう評判をしている。どちらが悪いとかいいとか」

「ええ、内匠頭の短慮と吝嗇はよく知っていますが、殿中で切りつけるには、よくよく堪忍のできぬことがあってのことだろうというので、やはり同情されています。梶川の評判はよくないようです。どうしてもっと十分にやらせてから、抱きとめなかったかと……」

「無茶なことをいう、十分にやられてたまるものか。