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みょうじのはなし
名字の話
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《名字の話(みょうじのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,823 字 · 46 頁
いつの間にか家号を名字と言うようになった
そうなって来れば今日の会話語で、家号のことを名字といっても、どこにも差支えることがないのであります。
さて前段がはなはだ長くなったけれども、昔の人の字の中でも一人一人について変って行く部分、すなわち通称についてはだいたい説明を終りましたから、この次には一人一人について変らぬ部分、すなわち家号、今日の語で言えば名字の話を、今少ししてみようと思う。
いつの間にか家号を名字と言うようになった
名字と言う語の本来の意味が今日の用い方とは違っておって、家号と通称との二つを包含するものであることは前回にお話した通りであります。この意味における名字を最も豊富にかつ趣味多く見出す事のできるのは『吾妻鑑』であります。平安朝の始め頃にもすでに上田の三郎などと言う名字のあることは『霊異記』にも見えているが、鎌倉時代にはこの意味における名字がいくらでもある。この時代にはいまだみだりに左衛門尉とか右衛門尉とかいう武家の官名を、与えもしなければ貰うことも幕府がやかましかったから、立派な侍が皆次郎・三郎で、家号としてはことごとく居住地の地名を帯びている。
言を換えて言えば、居住地+出生の順序=名字であったのであります。