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めいきょくけっていばん
名曲決定盤
野村 あらえびす
線上閱讀野村 あらえびす《名曲決定盤(めいきょくけっていばん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,837 字 · 680 頁
ショパンの全作品の中には、もとより傑作ばかりではない。(ショパン学者に言わせるとことごとく珠玉の名曲ばかりのようだが、実際傑作と称すべきものは、そんなに沢山あるものではない)が、それにしても、パハマンの演奏になるショパンの全作品をレコードで所有することは、決して無意味なことではないと思う。
もっとも、パハマンも晩年は甚だよくなかった。電気になってからは概してよくないが(それでも二、三の佳作はある)、電気以前のパハマンは、驚くべき粗悪なレコーディングを超越して、なかなかに美しいのがある。ビクターやコロムビアの電気以前のパハマンは、一九一〇年から一四年の間に吹き込んだもので、パハマン六十歳台――あの不思議な老ピアニストが、盛んに活躍した時代の形見であったせいもあるであろう。雑音だらけの中からパハマンの魔術を聴くことは、必ずしも困難ではないと思う。
大田黒氏の書いた『影絵』の中のパハマンの項を読むと、レコードはパハマンの俤を伝えていないと言っている、恐らくそうであろう。この書の出版は大正十四年で、大田黒氏がこれを書いたのは、震災以前であった筈だから、パハマンの実演を聴いた人が電気以前のレコードに失望したのはむしろ当然のことである。