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めいきょくけっていばん

名曲決定盤

野村 あらえびす

線上閱讀野村 あらえびす《名曲決定盤(めいきょくけっていばん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,837 字 · 680 頁

青空文庫

二十歳に満たぬハイフェッツは、あらゆる地方から引張り凧になったばかりでなく、その磨き抜かれたヴァイオリン音楽は、ビクターの赤盤に吹き込まれて、驚異と讃歎とを日本にまで舶載したことは、二十年前のファンたちのよく知っていることであろう。

同じアウアー門下にも、エルマンとハイフェッツは、対蹠的な二大異彩と見られていた。エルマンの甘美さと、ハイフェッツの冷美さは、一見全く違ったものである。が、その違いは個性的な音色の違いで、本質的なものでなかったことも事実である。二人の技巧と解釈のうちには、アウアー風の豪華な――やや誇張された技巧の裏付けがあったからである。

それはともかく、当時、エルマンの『G線上のアリア』や『アヴェ・マリア』と並んで、ハイフェッツの『ツィゴイネルワイゼン』や『ロンド・デ・ルタン』が、どんなに騒がれ愛されたことか。現に電気以前の『ツィゴイネルワイゼン』(六一五三)が、今日までビクターのカタログに傲然として載っているのを見ても、這般の消息の一部が解るだろう。

大正十二年関東の大震災は、音楽界の事情までもすっかり変えてしまった。予定されていたバリトン歌手のシュワルツとピアニストのホフマンは日本来遊を取り消して、好楽者たちを落胆させたが、幸いにして、ハイフェッツは、焦土もまだろくに冷めないその年の十一月